生まれたてのほやほや!





 分娩時における胎児の失位の発生頻度は、周産期の母体のコンディションと多少なりとも関係があるのではないかと日々考えています。分娩前後の母体の飼養管理には細心の注意を払うことが大事だと思います。






 しかし難産となった場合、胎児の生存性や母体の衰弱を最小限に抑える意味でも的確な診断、的確な整復、そして娩出させるタイミングが重要となるのではないでしょうか。






 昨夜の難産失位は、畜主が触診した時点で「自分の手に負えない」と判断、すぐさま急患用携帯に往診依頼をいれました。胎児は頭位でしたが仰向けの状態でした。両前肢を牽引してもこれでは頭部が産道に入ってくるのはまず無理でしょう。用手にて胎児を回転させ産道に正常に誘導した後、母体が怒責し産道が少し開くのを待ち、畜主と二人で一気に牽引、娩出させました。幸運にも胎児は無事娩出されました。母牛にカルシウム剤、ブドウ糖を点滴してから日付が変わったばかりの農場を後にしました。






 この子は、メスなので順調に行けば、約2年後には最初の分娩を向かえ、農場に多くのの利益をもたらす存在となるでしょう。