新年







2009年元旦の朝は、午前6時に産後起立不能の急患で幕を開けた。

血中CA値なんと2.6mg/dl。

ボロカールを2本静脈内に、ニューグロンを1本皮下に入れ、午後に再度往診をする。

カルシウム値は8.9mg/dl。もう一本ボロカール追加で静注する。


大晦日の深夜に頭部の失位を畜主自らが整復し、分娩させたとのこと。畜主の方も正月だからと気を遣ってくれたのはありがたいのだが・・・。

実はこの牛は、定期検診で、外見上過肥であり、血中コレステロール値も下降傾向であったため、要注意であると指摘していた。食欲が落ちていたわけでは無いので、TMRの増給をしたほうがよいと畜主に伝えていた。タイストールの飼養形態なのだが、分娩前後の個体管理をきめ細やかにやろうとする意識が畜主にはまだない。問題を提起すると、いろいろな理由を持ち出して言い訳をするのだけれど、残念なことに、結果はこのような形で自らに降りかかってくる・・・。今年の課題としよう。


もちろん、検診時の血液検査の結果をよく理解し、個体管理に反映させて下さる畜主もいる。おのずと、分娩時の安定度は高い。
この牛はその後、幸いにも自力で起立できた。しかし、その後の周産期疾病の発生リスクは高く、繁殖成績への影響もあるだろう。


一日、二日と平常診療をし、私は三日の午後から五日まで正月休みをもらい家族の待つ家内の実家福島県須賀川市へ。


写真は、三日の午前中に移植に行った酪農振興センターの風景。忙しかったが、雪も少なく、穏やかな正月であった。今年も一年良い年でありますように。